1、貧困をなくそう

日本は子どもが貧乏な国-先進国で悪い方から10位
日本は貧富の差がどんどん広がっています。貧しい人は生活が苦しく、食べるものに困ったり、大学や専門学校に行けない人も増えているのです。
そもそも7人に1人の子供は生活するお金が足りていません。これは先進国の中で悪い方から10番目なのです。そしてひどいのは、ひとり親家庭。その半分がお金に困っているのです。こんなことが起こっているのは先進国で日本だけなのです。

1日200円より少ないお金で生活している人たち
世界で最も貧乏とされている、1日200円より少ないお金で生活している人たちは、20年間ずっと減少してきましたが、2020年は新型コロナウイルスにより、一気にその数が増え8億人を超えてしまいました。
世界の10人に1人は食べるものに困っているのです。いつ死ぬかもわからない生活をしているのです。世界では1年間に520万人の子供が5歳になる前に死んでしまいます。その大きな原因は貧困にあるのです。
 

2、飢餓をゼロに

日本で毎日5人が飢え死にしている事を知っていますか?
日本は豊かな国だと思っているあなた。実は栄養が足りなくて死んだ人が、2020年に1956人もいたのです。お金がなくて食べ物を買えなかったことがある家は、100家族のうち14家族あり、毎日のように食べ物が足りない家は100家族のうち2家族、ひとり親家庭では7家族あります。

世界では5秒に1人の子供が飢え死にしている事実
大人も含めて生きるための栄養が足りずに飢えに苦しんでいる人は、新型コロナウイルスの前は6億9000万人いました。飢えに苦しむ人の数は新型コロナウイルスに追って8300万〜1億3200万人も増えてしまったのです。
 

3、すべての人に健康と福祉を

子どもが死ぬ原因で一番多いのは自殺だと知っていますか?
日本の10代の子供が死ぬ原因の1位は自殺なのです。理由はいじめ、家族の問題や勉強の悩み、将来への不安といろいろ言われています。
 
世界では520万人の子供が5歳になる前に死んでいる事実
世界で5歳になる前に死んでしまう子供は、30年前の半分以下になりましたが、それでも2019年は520万人もいました。栄養が足りず病気になってしまうことが原因です。栄養が足りずに成長できない子供は、5歳前の子だけでも1億4920万人もいるのです。日本の人口よりも多い数です。
 
4、質の高い教育をみんなに

日本で学校に行けない子供たちは19万人以上!
小学校・中学校へ行けない不登校の子供が毎年増えていますが、2020年度は19万6127人もいました。これはすべての学校に6人ずついた計算になります。

世界には読み書き計算ができない人が6人に1人います
世界には79億人の人たちがいますが、そのうち読み書き計算のできない子供は6億1700万人、大人は7億5000万人もいます。読み書き計算を習うのは学校ですが、世界では3億300万人の子供が学校に行けていないのです。
 

5、ジェンダー平等を実現しよう

日本は女性に対して非常に不平等な国だと知っていますか?
男女がどれくらい平等かを調べた内閣府の資料によると、日本は156カ国中なんと120位で、先進国では最下位という結果でした。中でも悪かったのが仕事の分野で、世界では国会議員の4人に1人が女性ですが、日本の衆議院では10人に1人です。会社で社長などの役員になっているのは、フランスでは10人に4人が女性ですが、日本では100人に1人しかいません。給料も男性が1年にもらう金額と比べると、女性は8ヶ月分しかもらえていないのです。
 
世界では人を売り買いして奴隷のように使うことが起こっています
国連が調べてわかっているだけで、1年間に売られた人はなんと2万7000人にも登ります。このうち2万人が女性で、6200人が女の子です。実際にはこの何倍もの人が売り買いされていると考えられています。
結婚相手を自分で選べない女性もたくさんいます。世界では強制結婚と言って、本人の気持ちと関係なしに無理やり結婚させられる女性が1300万人もいます。これは東京都の人口と同じくらいの人数です。10人のうち3人は18歳になる前、中には9歳で結婚させられた子供もいます。
 
6、安全な水とトイレを世界中に

毎日6時間かけて水くみをする子供たちがいます
エチオピアのある村には水道がありません。川まで水をくみにいかなければいけません。水くみは子供と女性の仕事です。水くみだけで毎日6時間もかかります。世界には水を手に入れるのに30分以上もかけている人が2億人もいます。汚い川の水をくむので、病気の原因にもなっています。
トイレがない人はなんと6億7300万人もいます。学校にトイレがないために、外でするのが恥ずかしくて、勉強をあきらめる女の子もいるのです。
世界で10人に1人は、きれいな水を使えない。
世界で4人に1人は、安全な飲み水を使えない。
世界で40人に1人は、行き帰り30分以上かけて水をくみに行く。
世界で11人に1人は、外でおしっこやうんちをする。
 

7、エネルギーをみんなに そしてクリーンに

日本の発電のほとんどが、二酸化炭素を出す火力発電
日本で一番多いのが火力発電です。日本で使うすべての電気で100個の電球がついているとすると、そのうちの87個は火力発電で光っていることになります。火力発電では石炭や天然ガスや石油などを燃やして水をわかし、水蒸気の力で羽根車を回して電気を作ります。燃料を燃やす時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素を出すので、火力発電を減らすことが世界的な目標になっています。
この代わりに増やしているのが自然エネルギーによる発電です。水か流れる力で羽根車を回して電気を作る水力発電、風で羽を回す風力発電、太陽の光を電気に変える太陽光発電など、どれも二酸化炭素を出しません。
ただ日本で自然エネルギーで光っているのは100個の電球のうち11個だけです。世界では30個を超えている国がいくつもあります。
日本全部の電気で100個の電球が光っているとすると、
火力発電で光っているのは87個
自然エネルギーで光っているのは11個
原子力発電で光っているのは2個
 

世界では電気を使えない人が10人に1人もいる事実
現在世界の人口79億人のうち10人に1人は電気を使えていませんが、このうちの4分の3はアフリカ大陸の中部と南部に住む人々です。この地域では半分以上の人が電気を使えず、夜は仕事も勉強もできません。
電気が使えないところにはガスもありません。料理をしたり、部屋を暖めたりするために、まきを燃やします。これにより二酸化炭素が増えるのです。
 

8、働きがいも経済成長も

同じ仕事をしてもアルバイトやパートの給料は正社員の3分の2
同じ仕事をしたら同じ給料をもらえると思いがちですが、実はそうはなっていない事実があります。アルバイトやパートの人は正社員より少ない給料しかもらえない場合が多くあるのです。同じ正社員同士でも女性の給料は男性より低い場合が多くなっています。
国によっても違いがあり、先進国35カ国の中で一番給料が多いルクセンブルグは、一番少ないメキシコの4倍です。日本は19番目です。途上国では1日中働いても100円ももらえない人がたくさんいるのです。
日本の会社員の1ヶ月の給料
正社員:32万5400円
正社員以外:21万1200円

世界先進国35カ国の1年間の給料
1位 ルクセンブルグ 687万円
19位 日本 386万円
35位 メキシコ 176万円
 
世界で学校に行かせてもらえず働かされる子供は1億6000万人
世界では1億6000万人の子供が働かされています。仕事は10人に7人が農業です。チョコレートの原料になるカカオの実をとるのはアフリカの農園で働く子供たちです。工場や鉱山で危険な仕事をさせられている子供もも大勢います。
 

9、産業と技術革新の基盤をつくろう

日本でも道路や電気や水道が使えないことがあります
日本は道路も電気も水道もインターネットも発達しているので、普段はほとんど不便を感じることがありません。しかし大雨が原因で都会のタワーマンションで何日もトイレが使えなくなったり、台風が原因で停電が続いたり、地震で道路が壊れたり、鉄道が動かなくなったりすることもあります。
使えなくなるのは災害の時だけではありません。今ある道路や橋、トンネル、川、港などの半分は、できてから40年以上たっています。あと10年で半分が50年を超えてくるのです。
 
道路がないと人々は貧しくなる?
アフリカの国々には日本と同様に大都市の間を結ぶ高速道路はあります。しかし地方の町や村には舗装された道路がほとんどありません。そのため農産物や製品を輸出しようとしても、大都市にある港まで運ぶのに、時間とお金がかかり、運賃が余計にかかる分利益もえり、農村に入るお金は減ってしまいます。
道路を作るだけでは国は豊かにはなりませんが、道路がないと人々がいくら働いても、貧しさから抜け出すことは難しくなります。アフリカは道路だけでなく、鉄道や港も不足しています。産業を発達させるためには交通網の整備が必要なのです。
アフリカの中では産業が発展している南アフリカは、国土の広さは3.2倍ですが、道路距離は日本の3分の1です。
 

10、人や国の不平等をなくそう

日本にも存在する差別
差別はいけないことです。しかし自分では気づかないうちに、差別をしたりされてしまうのが大きな問題です。これら差別をなくすために日本にはたくさんの法律があります。
1986年- 男女雇用機会均等法:企業が社員の男女差別をしないようにする
1999年- 男女共同参画社会基本法:男女が同じように力を発揮できる社会を目指す
2001年- DV防止法:(主に女性に対する)家庭の中での暴力を防ぐ
2016年- 障害者差別解消法:障がい者に対する差別をなくす
2016年- ヘイトスピーチ解消法:外国人を差別する発言をなくす
2016年- 部落差別解消推進法:歴史の中で差別されてきた特定の地域出身の人たちに対する差別をなくす
2019年- アイヌ施作推進法:北海道の先住民族であるアイヌの人が誇りを持って生活できる社会を作る
 
世界一のお金持ちになるには790万年かかる?
世界には79億人の人がいますが、そのうちのわずか2153人の大金持ちが持っているお金を足すと、世界の貧しい人たち46億人のお金をすべて足したより多くなっています。
2020年の世界一のお金持ちは、アマゾンを作ったジェフ・ベゾフさんで、およそ19兆円のお金を持っています。月給が20万の人であれば、同じ所得を得るのに790万年働かないといけません。
その国の人たちが使ったお金を全部足すと、
1位 アメリカ:2260兆円
2位 中国:1590兆円
3位 日本:545兆円
アフリカの貧しい国45カ国の合計:170兆円

 

11、住み続けられるまちづくりを

日本は自然災害大国
日本の面積は世界全体の360分の1です。ところがマグニチュード6以上の地震の5回に1回が日本で起こっています。世界には1548の活火山がありますが、そのうちの108が日本の山です。台風は毎年やってきますし大雨大雪も降ります。
平成元年〜30年に自然災害で亡くなった人・行方不明になった人
火山の噴火:107人
阪神淡路大震災:6437人
東日本大震災:2万2252人
その他の地震:760人
豪雨:401人
台風:196人
大雪:811人
 
世界には10億ものスラムに住む人たちがいる
世界では10億人の人がスラムに住んでいます。スラムとはそまつな家がびっしりと集まったような場所などを言います。例えばケニアの首都ナイロビのスラムには50万人以上の人が住んでいます。水道やトイレはきれいとは言えません。ゴミを捨てても集めに来る人がいないので、者がくさったにおいがしています。泥棒や暴力でお金を稼いでいる人もいて、そういう人が住んでいるスラムはとても危険です。

12、つくる責任 つかう責任

食べられるのに捨てられる食べ物が東京ドーム5つ分もあります
日本ではまだ食べられる食べ物が1年間に600万トン捨てられています。これは東京ドーム5個分です。国連が食糧不足の国や難民キャンプに送っている食料は420万トンですから、その1.4倍もの食べ物が日本ではゴミとして捨てられているのです。
 
先進国の生活を全員がやると地球は10個あっても足りない
マテリアルフットプリントというものさしがあります。これは私たちが生活する上で使っているすべてのものの原材料の量を足したものです。どれくらいの量になるかというと、豊かな国では1年間に1人あたり27.1トンにもなります。貧しい国は2トンですので、13倍も多くの資源を使っていることになります。地球上のすべての人が豊かな国と同じ暮らしをしようとしたら、地球は10個以上必要になります。

13、気候変動に具体的な対策を

地球はどんどん暑くなっています
250年前と比べて地球全体の気温はおよそ1度上がりました。たった1度ですが、これが地球温暖化問題の原因となっています。日本ではこの100年間で1.26度も高くなっており、35度以上の猛暑日の日数も増えています。
 
0.5度の違いが地球の運命の分かれ道
たった1度上がったことによって異常気象などたくさんの問題が出ています。何もせずにいると気温がさらに上がり北極の氷河が溶け、海面が高くなって、砂浜や海辺の街が消えたり、農産物が育ちにくくなったり、多くの陸や海の生物が絶滅したりしてしまいます。2050年までの気温の上がり方が0.5度か1度かで、大きく変わります。
0.5度でおさえることができれば、
・異常な暑さや豪雨の回数が減る
・海面が上がって困る人が1000万人少なくなる
・トウモロコシ、米、小麦の生産量が減る量をおさえられる
・きびしい水不足になる人の数が半分ですむ
・気候による危険や貧しさに苦しむ人が数億人少なくなる
 

14、海の豊かさを守ろう

プラスチックのゴミが大問題となっています
2020年7月からスーパーのレジ袋が有料となりました。これは海のプラスチックゴミが世界中で問題になっているからです。レジ袋やプラスチックのストローは石油からできています。陸に捨てたゴミが分解されないまま、皮を通って海へ流れ出てしまいます。そうしたプラスチックゴミを食べてしまったり、体に絡まったりして、傷つき死んでしまう海の生き物がたくさんいます。
プラスチックはどんなに小さくなっても分解されないので、何百年も水中に残り続けます。海に流れ出るプラスチックゴミは毎年800万トンもあり、このままいくと2050年には海の中の生物の量よりもプラスチックの方が多くなってしまいます。

 

15、陸の豊かさを守ろう

世界では毎年東京ドーム70万個もの森が消えているって知っていますか?
日本は国土の10分の7が森です。世界では陸地のおよそ10分の3が森です。ところが地球上の森は減り続けていて、毎年東京ドーム70万個分の森がなくなっています。その原因のほとんどは農園や牧場を作るために、人間が気を切っていることです。
森林は二酸化炭素を吸って酸素を作るだけでなく、水をたくわえ、根をはって山崩れや洪水を防いでくれます。野生動物のすみかでもあり、海の生物を育んでもいます。森林を失うことは、他にも大切なものをたくさん失うことになります。
 

16、平和と公正をすべての人に

増えている子供たちのへの虐待
虐待とは、お父さんやお母さんなどの保護者が子供に暴力を振るう、食べ物をあげない、必要な世話をしない、傷つくようなことを言う、といったことです。
子供への虐待の相談数は毎年数万ずつ増えていて、2020年度は20万件を超えてしまいました。
虐待の件数はなんと20万5000件。1日560件にも登ります。
332件:言葉の暴力や母親への暴力を見せて心に傷をおわせる
137件:子供に対する暴力
86件:食べ物をあげなかったりほうっておいたりする
6件:子どもにエッチなことをする

 
増増え続ける戦争の不幸
戦争や人種差別のために家を追われ外国へ逃げた人たちは難民と呼ばれています。今難民の数は歴史上で最も多い7950万人にものぼっており、そのうちの10人に4人は子どもなのです。
 

17、パートナーシップで目標を達成しよう

日本のSDGS進み具合の順位は?
2018年:15位
2019年:17位
2020年:18位
毎年少しずつ下がっています。
よくできているのは、目標4(教育)、9(産業)、16(平和)のみ。
できていないのは、5(女性差別)、13(地球温暖化)、14(海と魚)、15(森と動物)、17(協力)の5つです。
2020年の1位はフィンランドですが、よくできた目標は4つだけでした。2030年にはすべての国のすべての目標が緑になることがSDGsの目標です。
 

引用元:「すぐできることからがんばってしよう こどもSDGs」 弘文堂